ケモノの物書き堂

猫メ けものの一次創作ブログ

スカッと系シナリオ

タイトル

ギャル服を着るのが大好きな母。私の服にもいやみったらしく文句をつけてきた結果→父に愛想をつかされ説教されるのだが…。

 

登場人物

かなえ→主人公。ギャル服にハマっている母に悩まされている。元レディース総長。

母→ギャル服にハマっている。遊んでばかりで家事もろくにしない。

父→かなえの服をバカにする母に切れ、母に制裁を下す。

 

あらすじ

かなえは、ギャル服を着る母に頭を悩まされている。そのきっかけを作ったのも、かなえ自身だ。近所のギャルたちにバカにされたことを母に相談されたかなえは、元レディース総長の肩書を利用してギャルたちを制裁した。だが、ギャルたちへの嫌がらせのつもりで母にギャル服を着せていたのが仇になった。ギャルたちにとって、自分たちと同じ服装をしたおばさんに頭をさげるのはさぞかし屈辱だろうと、かなえは考えていたのだ。だが、かなえの予想に反して、母はギャルたちと仲良くなり、彼女たちと遊び回るようになる。母は家事もしなくなり、かなえに家のことを押しつけるようになったのだ。

そして、両親の結婚式当日。母は家族で高級レストランに行く約束をすっぽかして、大仏のような髪形になって帰ってくる。さすがに頭にきた父が母を諫めるが、頭にきた母はかなえの着ていたワンピースをダサいと罵る。その言葉にかなえはショックを受けていた。かなえの着るワンピースは、グレていたかなえが母と仲直りをした記念に、母からプレゼントされたものだったからだ。

泣きそうになるかなえを見て、父は母を怒る。そして、かなえのことだけは大切にしてほしいこと。どんな服装をしていても、母を愛していることを母に告白するのだった。

父の言葉に心動かされ、母は2人に謝罪する。

事件があったあと、3人はファミリーレストランで結婚記念日のお祝いをする。

その後も、母はギャルたち交友を持ち続けるが、家では普通の服を着るようになり、家事もするようになる。

 

 

 

本編

――――――――――――――――――――――――――――――――――――

【母】「ちょっとかなえ、この服どう思う?」

 

【かなえ】「て、え! お母さんそれ!!」

【母】「似合ってるでしょう? ふふ?」

 

【かなえ】「う…うん」

【かなえ】(うわあ、おばさんがギャル服ってきつい…。)

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 私の名前はかなえ。どこにでもいる普通の女子大生だ。

ただ、最近ちょっと悩みを抱えている。

母がギャル服を着始めたことだ。

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

【母】「ねえねえ、このキャミソール! メッチャ、イカしてるでしょう! 

新宿で999円で買ってきたのお!? マジで最高!!」

 

【かなえ】「う…うん…よかったね…」

 

【母】「ええ! それだけええ! テンション低いなかなでちゃああん! もっとアゲアゲでいこうぜ!」

【母】「うん…さげさげだよ…」

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 別に何を着ようが本人の勝手だ。

 でも、考えてみてほしい。

 50歳を過ぎた実の母親がギャル服を着て、このテンションで1日中話しかけてくるのだ。

 悪夢でしかない。

 まあ、それは私のせいでもあるんだけど。

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

(説明と回想はいります)

 もともと母は、大人しい性格の人で来ている服も地味目なものが多かった。

 それがなんで、ああなったのかいうと。

 深い訳がある。 

【母】「はあ、私ってそんなにふけてるのかしらねえ」

 

【かなえ】「どうしたのお母さん、暗い顔して」

 

【母】「いやね、近所の人たちにその…。かなえ、私ってブスかしら」

 

【かなえ】「はあ、誰がそんなこというの」

 

【母】「ちょっと、近所の若いギャルたちにね。あのばばあ根暗でキモいって…」

 

【かなえ】「はあ、ちょっとなによそれ! お母さんのどこがキモイのよ! ゆるせない!」

 

【母】「ありがとう、かなえ。でも、ほんとうにそうなのかもしれないし」

 

【かなえ】「そんなことないよ! くっそお。ムカつくなあ。あ」

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

そのときだ。

私は、悪夢のような考えを抱いてしまった。

これは面白いと私は母に、自分のたくらみを告げる。

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

【母】「え、ちょっとそれ大丈夫なの?」

 

【かなえ】「大丈夫だよ! そのくらいの仕返しはしてもいいでしょう」

 

【母】「でも…」

 

【かなえ】「大丈夫、私も参加するしさあ」

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

乗り気でない母を説得し、私は母をバカにしたギャルたちを

ぎゃふんと言わせることにしたのだ。

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

(ギャルたちの会話シーン)

【ギャル1】「まじまじ、超ムズムズ。激ズム」

 

【ギャル2】「まじまじ! あのおばはん、私らの話を聞いて泣きそうになってたよね」

 

【ギャル1】「ちょーい悪いと思ったけど、事実だしい。おばさんクソダサ、もこみちぃ!!」

 

【ギャル2】「そうそう! もこみちちょうださー!」

【ギャル2】「マジでファッションセンス、私らリスペクトしろって感じい」

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

母を笑っていたギャルたちは、商店街で母の悪口を言い合っていた

【母】「酷い。あんな風に大声で…」

 

【かなえ】「だから私たちが懲らしめてやるんじゃない! 行こう、お母さん!」

 

【母】「え、ええ…」

――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 (ギャルたちの前に飛び出す2人)

【ギャル1】「ちょ、この前のおばさん! て! なにその恰好!」

 

【ギャル2】「あの! マジで受ける! つーか、隣の人…」

 

【ギャル1】「あん! お前らここがあたいのシマだってこと分かってて、

あたいの母親にちょっかいだしたんじゃないだろうねえ!!」

――――――――――――――――――――――――――――――――――――

ビビるギャルたちを前に、私は持っていた鉄パイプを地面に叩きつけていた。

実のところ私、高校の頃はレディースの総長だったのだ。

Youtubeの収益広告を剥がされると困るから、

ここでは書けない自主規制案件もちょっとだけ起こしてたりする。

――――――――――――――――――――――――――――――――――――

(母親の突込みが入ります)

 

【母】(ちょっと…どころじゃない気が)

【母】(あの頃は、毎日学校に謝りにいってたわよね。卒業できたのが奇跡だわ)

――――――――――――――――――――――――――――――――――――

【ギャル1】「ま、まさか、このおばさん!?」

 

【ギャル2】「伝説のレディース総長、かなえさんのお母さん!?」

 

【ギャル1】「でも、なんでお母さん、そのギャルの格好を…」

 

【かなえ】「なにって、お前らとおんなじ格好してるんだ。イケてるだろ?」

 

【ギャル1】「え、さすがに…」

 

【かなえ】「イケてるよなあ!?」

 

【ギャル1】「は、はい! イケてます! カッコいいっす!」

 

【ギャル2】「ほんと! マジリスペクトしたい!!」

 

【かなえ】「本当にそう思ってるかあ! ああ!!」

 

【ギャル1,2】『ひぃ!!』

 

【かなえ】「おまえらさあ! 何なんだよ、

そのキャミソールのめっちゃうっすい服!」

 

【かなえ】「自分たちがイケてると思ってるのかあ!」

 

【ギャル1】「いえ、そんなことは…」

 

【かなえ】「別に誰が何着ようがいいだろお! うちの母ちゃんに謝れや!」

 

【ギャル1】「はいいい! もうしわけございませんでした。

そのギャル服似合うっす!」

【ギャル2】「本当、マジリスペクトしたい…します! 全速力でしやっす!」

――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 彼女たちは土下座をして母に謝ってきた。

 いやー、今思い出しても爽快なスカッとだったと。

 この後の、悪夢のような展開がなければ。

――――――――――――――――――――――――――――――――――――

【母】「本当に、似合っているかしら?」

 

【かなえ】「え、お母さん?」

 

【ギャル1】「はい! マジでそのキラキラスパンコールのキャミソール。

キラキラスパンコールでキラキラです!」

 

【ギャル2】「リスペクト! リスペクトっす!」

 

【母】「本当! 正直引かれちゃうって思ったけど、着てよかったわ!」

【母】「私もまだまだ捨てたものじゃないわね!」

 

【かなえ】「いや、それはギャルたちを懲らしめるためにわざと着ただけね…」

【ギャル1】「よかったら、新宿一緒に行きません!? 

いいお店紹介させてくださいよ!」

 

【ギャル2】「むしろお店紹介してください! リスペクトしやっす!」

 

【母】「いやあ、お店とかしらないのよ! 今度教えてちょうだい!」

 

【かなえ】「え、ちょっとお母さん!?」

 

【ギャル1】「いやあ、いいっすよ。週末、新宿行きましょう!」

 

【ギャル2】「まじまじ! リスペクト、新宿で発揮しましょう!!」

 

【母】「そうね、リスペクト! リスペクト!」

 

【かなえ】「あの、なんか仲良くなってる…」

――――――――――――――――――――――――――――――――――――

私を無視して、3人は服の話で盛り上がる。

それからだ。母が変わってしまったのは。

ギャル服を着たおばさんに謝罪を強要させるという私の作戦は、

ものの見事に頓挫したのだ。

その方がギャルたちの屈辱感が半端ないと思ったから、

お母さんにギャルになってもらったんだけどな。

――――――――――――――――――――――――――――――――――――

【母】「ねえ、この前ギャルちゃんたちと新宿に行って買った、

このキラキラキャミソール、どうかしら?」

 

【かなえ】「あ、うん。似合うんじゃないかな。うん」

 

【母】「そう、やっぱりリスペクトだいじよねえ」

【母】「ネイルも始めたし、若いっていいわあ」

 

【かなえ】「うわ、なにその凄いゴテゴテネイル。なんで大仏のネイルなの?」

【かなえ】「どういうリスペクト?」

【かなえ】「それにさ、そんなネイルして、どうやって家事するの」

【かなえ】「お米研げないじゃん」

【母】「そんなのお、かなえがやってくれればいいでしょう」

【母】「このあとギャルちゃんたちとお食事にいくからあ、

お父さんのご飯もお願い」

 

【かなえ】「ちょ、私は別にいいけど、お父さんそれだとさすがに怒るよ」

 

【母】「え、どうして?」

 

【かなえ】「お母さんが家を空けっぱなしにしてるせいで、

お母さんと顔合わせられないって寂しがってるのに」

 

【母】「いいのよお。あの人は勝手に飲みにだっていくんだから!」

【母】「私だって好きにしたいの。いいえ、させてちょうだい!」

【母】「ギャルちゃんたちといると楽しいのよ!」

――――――――――――――――――――――――――――――――――――

母の言い分にも一理ある。

私たち家族は、家事を母に任せきりでいつも負担をかけてきた。

しかも私は元レディース総長。

私を育てた母の気苦労や相当のものだったろう。

だからって、きちんと働いているお父さんをないがしろにするのはどうかと思う。

そんなおり、事件は起きたのだ。

それは、お父さんとお母さんの結婚記念日の日だった。

――――――――――――――――――――――――――――――――――――

【かなえ】「お母さん、帰ってこないね」

【かなえ】「せっかく、高いレストラン予約したのに」

 

【父】「まったく、家にもよりつかないし、あいつは何を考えているんだ」

 

【かなえ】「私が悪いの」

【かなえ】「お母さんに迷惑ばかりかけて、その反動が出ちゃったんだと思う」

 

【父】「それとこれとは、話は別だ」

【父】「お前だって今日のために、バイトを休んでくれたのに」

 

【かなえ】「うん、そうだね。ちょっと、酷いよね…」

 

【母】「はーい、ただいまあ!」

――――――――――――――――――――――――――――――――――――

私がしょんぼりしていると、勢いよく玄関を開け、母が家に入ってきた。

【かなえ】「あ、お母さん」

【かなえ】「なに! その大仏みたいな頭!」

 

【父】「お前、頭は大丈夫か!?」

 

【母】「いいでしょう! 大仏マジリスペクト! 

【母】「新宿ではやってるギャルヘアなんだ!」

 

【かなえ】「大仏ヘア…。テレビで見たような」

 

【父】「流行ってようが関係ない」 

【父】「少しは自分の髪形や着るものに気を遣おうとは思わないのか!?」

 

【母】「え、何よ!? 年取ってるのがそんなに悪いわけ!?」

【母】「すごく似合ってるしみんな褒めてくれるわ」

【母】「それになによ! かなえのそのダッサイ、ワンピース!」

【母】「そんな服を着てる娘を持ってる方が恥ずかしいわ」

 

【かなえ】「え…お母さん、このワンピースは」

 

【母】「なに、そんなダサいワンピース、知らないわよ!」

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

母の言葉に、私は泣きそうになっていた。

私の着ているワンピースは、母がプレゼントしてくれたものだったからだ。

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

(回想はいります)

高校時代、グレていた私は警察に捕まりそうになったことがあった。

そんなとき、真っ先に警察にかけつけてくれたのが母だったのだ。

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

【母】「申し訳ございません。本当に申し訳ございません」

 

【かなえ】「本当にやめてよお母さん! うざい!」

 

【警察官】「お前、お母さんになんてこと言うんだ!」

 

【かなえ】「知らねえよ」

【かなえ】「因縁つけられたからちょっと突き飛ばしただけで、

なんでパクられなきゃならないんだよ」

 

【母】「すみません! 私の育て方が…う…」

 

【かなえ】「え、ちょと、お母さん。なんで倒れるの? お母さん?」

 

【警察官】「いけない! 早く救急車を呼んでくれ! 早く!」

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

母は救急車で病院に搬送された。

ストレスからくる過労で母は倒れたのだと聞かされたとき、

私はとても後悔したのだ。

私のせいで、母が追いつめられていた。

それが分かって、とてもショックだった。

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

【かなえ】「ごめんなさい! お母さん! 私もう、迷惑かけないから」

 

【母】「いいのよ、私の方こそあなたに何もしてあげられなくてごめんなさい」

 

【かなえ】「なんでお母さんが謝るの。いけないのは私なのに」

 

【母】「じゃあ、仲直りのしるしに私が退院したらプレゼントを贈り合いましょうか」

【母】「それで、全部チャラ。だから、前みたいにお母さんと話してくれない」

【母】「無理じゃなくて、いいから」

 

【かなえ】「うん、わたしもそうしたい! お母さんと前みたいに仲良くしたい」

【かなえ】「だから、絶対に元気になってね」

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

そうして、私はレディース総長をやめた。

それからはもう大変。

高校にも必死に通って、

遅れがちになっていた勉強を必死になってやった。

そして、見事大学にも合格したのだ。

今の私があるのは、お母さんのお陰。

そして、私が着ているワンピースは、

お母さんが仲直りのしるしに私に買ってくれたものだ。

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

(回想終わり。現代に戻ります)

 

【かなえ】「本当に、このワンピースのこと覚えてないの?」

 

【母】「知らないわよお! そんなダサい服!」

 

【かなえ】「そんな、お母さん」

 

【母】「いい加減にしなさい! この大仏女!!」

 

【かなえ】「え、お父さん?」

 

【母】「たしかに大仏はリスペクとしてるけど、大仏女って何よ!?

【母】「私はギャルなのよ!?」

 

【父】「こんなしわくちゃなギャルがどこにいるんだ!?」

【父】「自分の顔を鏡で見てこい! その厚化粧が似合っていると思うのか!?」

 

【母】「ちょっと、あなた」

 

【父】「何を着ようがその人間の自由だ」

【父】「だがな、人に不快な思いをさせないためにそれ相応の服装をするのは常識だ」

【父】「それ以前に、人の服装を、ましてや実の娘の服をバカにするとは何事だ!!」

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

普段は温厚な父が、大声をあげて母を怒鳴りつけている。

そんな父を、私も母も呆然と見つめることしかできない。

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

【母】「ちょっとまってよ、あなた。その」

【父】「もういい、お前のにはほとほと愛想がつきた」

【父】「でもな、これだけは言わせてくれ!」

【父】「今回のことは、仕事にかかりきりで、

お前に家事も育児も丸投げにしていた私の責任でもあると思う」

 

【父】「でも、かなえは私たちのために必死になって勉強して、

大学まで行ってくれただろう?」

【父】「今日だって、お前のために大事なバイトを休んで、

ずっとお前のことを待っていたんだ」

【父】「だから、かなえのことは悪く言わないでほしい」

【父】「それにな。お前が年を取ろうと、何を着ようと、私はそんなことは気にしない」

【父】「そのままのお前が好きなんだよ…。だから、かなえのことは大切にしてくれ」

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

じょじょに泣きそうになっていく父の声に、母は静かに耳を傾けていた。

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

【母】「あなた、かなえ、本当にごめんなさい」

 

【かなえ】「いいよお母さん、泣かないで」

 

【父】「俺も言い過ぎた。許してくれ」

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

そっと私たち家族はお互いを抱きしめ合う。

その後、私たちは近所のファーストフード店で

お父さんとお母さんの結婚記念日をお祝いした。

予約した高級レストランに行けなかったのは残念だけど、

あのときほど、家族とご飯を食べてよかったと思えた日はない。

それから母がどうなったかって。

実は、母はまだギャルの格好をやめていない。あの大仏ヘアも健在だ。

でもそれは、ギャルたちと遊ぶときだけ。

家にいるときは普通の格好をしているし、家事も前みたいにやってくれている。

それでもちょっと変わったところはあるかな。

気のせいかもしれないけど、なんだか母がちょっと若返ったように見えるんだ。

若いギャルたちと付き合っていて、ものすごく張り合いがあるみたい。

私としては複雑な気分だけど、母が元気ならそれでいいか。

 

(了)